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舞台美術のプロセス

もうすぐ、八幡浜の市民ミュージカルが初日を迎えます。

今回は、舞台美術を、考えたプロセスに沿って紹介していきたいと思います。照明プランの話は次回にしようかな。

 

今回はまず舞台美術。

デザインはとにかくいつも、脚本がだいたい出来上がってから、演出家と相談して、スタートします。

脚本を読んだら、いろんなシーンを思い浮かべて、このシーンはこんなセットの上でやったら素敵だろうなとか、ここのシーンは家の中で、ここのシーンは山の上だから、こんな風に、とか、いろいろ想像します。

ただ、僕の場合は、脚本を読んだだけの段階では、まだふわふわしています。

こうゆう絵にしたい!という強いイメージが湧いて、そのアイデアと、演出家の演出意図とは高い確率で食い違うわけですが、そこをお互いが話しを煮詰め、苦しみ悩んだ挙句にウルトラCのスーパーアイデアにたどり着き、イイネ!それでいこう!となるのが、本当は、一番いいと思います。

次回からは、そこにチャレンジしたいと思いますが、演出家と話す前の段階で頭がふわふわしているのは、悪い事というわけでもありません。

演出家が稽古を進めていくわけで、その稽古で出来上がったお芝居をお客さんは見たいわけなので、舞台美術を見に来るわけじゃありません。

つまり、演出家が、このシーンはこういう雰囲気でやりたいとか、これくらいの高さでやりたいとか、誰かと誰かの距離感とか、どちらを向いてやるだとか、そういったイメージを、なるべく舞台装置の力で実現させてやらなきゃいけないので、そういった話を聞く前は、実はふわふわしていた方が、柔軟なアイデアになるのです。

 

そうして、演出家との打ち合わせでとりあえず要望は全て持ち帰り、改めて、具体的な絵を描く段階に行きます。

今回はわりと抽象的に、低い台や高い台の組み合わせで、いろんなシーンを表現することになりました。

100%必要な場所と、自分の中で欲しい場所と、組み合わせます。

高い台があれば、そこに登る階段も必要なわけで、その階段をただの階段にせず、いかに意味のある、そこにあるからカッコイイという階段にするか。

そして、こちらの台からあちらの台へと役者が移動することを考え、どこからどこへ行くのもスムーズな間取りにしたい。

さらには、全体として、左右対称ではなく、前から見たときに、山の稜線のような、ダイナミックな自然の景色のような形にしたい。

そんなこんなの要素を全て取り込むと、膨大なセットになってしまうので、会場に合った大きさで、作るのもそんなに大変じゃないようにと、削ったりもします。

見た目だけで言うと、こうしたいけど、芝居の使い勝手で言うと、こうしたいよなぁって所は、どちらも成り立つように、相当いじくりまわします。

欲しいものを突っ込んで、泣く泣く優先順位の低いものを削って、を繰り返すと、本当に必要なキラキラした部分だけが残っていきます。

欲しいものを詰め込んだり、寄せたり、削ったり、広げたり、狭めたり、何回も何回も書き直します。

そうして出来上がったプランAを演出家に見せ、それの部分的な直しが入り、修正して、を繰り返し、最終はプランFくらいまでいって、完成しました。

↓相当初期の段階。この構図になるまでが一番長い。

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↓ブラッシュアップされていく途中。基本は変わらないが、それぞれの台の大きさが変わっています。

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↓上の図面からさらに細かい部分が修正され、道具製作に突入。途中の写真は撮ってませんでしたが、劇場に組んだ状態がこちら。

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やったぜ!

ここで歌うと間違いなくカッコイイ!ポイントが、7地点くらいあります。

ケコミの模様は、はじめ木目(木の年輪のスジ)と板目(板と板の境目の線)を描いていましたが、部屋や建物の印象になりすぎるより、丘や山にも見えたいので、板目は消して木目のみにしました。

 

さて、これから週末の初日に向けての集中稽古で、舞台も芝居もどんどん良くなっていくと思います。

照明も入りますしね。

楽しみ楽しみ。